NAISTの授業
2009年度入学生として,NAISTで受けた授業についてまとめます. 内容については私は一切の保証をしません.
修了要件単位
NAIST情報科の修士課程を修了するには,原則として,次の条件を満たす必要があります.(2009年度入学の標準例)
- 専門科目 : 16単位
- 一般科目 : 6単位
- ゼミナールI : I,II期で5回出席,III,IV期で5回出席の計10回出席
- ゼミナールII : 16回出席し,2回発表する
- 修士論文
受講した科目
分類 | 科目名 | 教員名 | 単位数 | 修得学期 | 評語 (成績発表日) |
---|---|---|---|---|---|
専門 | システム工学I | 杉本謙二 | 2 | Iセメ | 優 (09/6/15) |
専門 | 情報理論 | 楫勇一 | 2 | Iセメ | 優 (09/6/22) |
専門 | 計算理論I | 伊藤実, 安本慶一 | 2 | Iセメ | 優 (09/7/30) |
専門 | 人工知能基礎論 | 松本裕治, 乾健太郎 | 2 | Iセメ | 優 (09/9/7) |
専門 | プログラミング演習(中級) | - | 2 | IIセメ | 良 (09/9/30) |
専門 | 計算理論III | 伊藤実, 関浩之 | 2 | IIセメ | 優(09/8/4) 伊藤 49/50 関 45/50 レポ 13/15 試験 32/35 |
専門 | プロジェクト実習 | 2 | IVセメ | 合(10/2/19) | |
専門 | 計算言語学 | 松本裕治, 乾健太郎, 柏岡秀紀 | 2 | IVセメ | 優(10/2/23) |
一般 | 特別演習 | - | 6 | IVセメ | 優(10/2/19) |
ゼミ | ゼミナールI | 1 | 合(10/2/19) | ||
ゼミ | ゼミナールII | 1 | 合 | ||
修士論文 | 6 | 合 | |||
合計 | 32 |
感想
まず,最初に驚いたのが,講義室がたったの3つしかないこと!
学部とは違って,授業はさほどないためだろう.
次に,全授業録画しているため,ブラウザで後からいつでも何度でも復習できること.
これで,出席しなできなかったとしても安心だ.
また,教育実習や学会出張の関係で,2科目について試験時期を変更してもらうようにお願いしたが, 丁寧に対応していただき(わざわざ1人のために試験を用意していただき),NAISTの先生っていいなあ,と思った.
さて,各科目についての感想を述べる前に,いくつか注意点をば. まず,この受講科目数は,一般的には少ないものである. 特にIIセメに実質1科目しかとっていないというのは,他の同期を見ても,僕ぐらいしかいないのではないだろうか. 理由として,一般科目は特待生演習という形で取得できるため,授業を取る必要がなかったこと, また教育実習に行く関係上,出席のある科目などは取れなかったことが挙げられる.
以下のレビューを読んでいただけると分かると思うが,全体的に授業の満足度は高い. 分かりやすい授業が多く,先生のやる気が感じられるのも特筆すべき点であろう.
各科目について
「システム工学I」は最適化問題についての基礎理論の話である. 大学1年レベルの線形代数と解析学があればついていける. また,説明も丁寧で,数学の良い勉強になり,取って良かったと思える授業の1つである. ただ,まず,毎回の授業後に出席確認のためのミニクイズ,課題集の中から1つ指定されて1分で発表と 少々課題が多いの苦しかった. 試験は,課題集と過去問を一通りやっておけば, 最後の方の難しい話は試験には出ないので,大丈夫である.
「情報理論」は基礎的な情報通信理論の話で, 私が学部時代に「情報論A」でやった内容と全く同じものだった. そのため,ほとんど追加での勉強はせず,レポートと試験だけで単位が取れ,非常に楽だった. 資料がとてもわかりやすいのには感動した. 学部時代,この先生に授業を受けたかった,とも思った.
「計算理論I」は前半が正規言語,後半は計算可能性についての話. 前半は学部時代に「計算論A・B」でやった内容と同じものだった. 前半は試験だけ受けたので授業についてはコメントできないが, 後半は初めての内容であるに関わらず授業はわかりやすくて良かった. ただし,内容は理解するまではかなり難しかったので覚悟するように. 先生のやる気も感じられ,受講してよかったと思った. また,教育実習の関係で,試験時期を変更して頂いたのだが,わざわざ私1人のために試験を用意していただき感謝である.
「人工知能基礎論」は前半は命題論理,後半は推論方法についての話. 試験は無く,レポートが全部で3回あった. 学部の「情報論理学」で少しやった内容であった. 試験ではなくレポートというのが,頭を使って考えることができ,良かった. ただ,私にとって結構難しかったので,正直に言うと,あまり授業は理解できなかった.
「計算理論III」は「計算理論I」の続きで,前半がCFL・PDA,後半は計算量理論入門についての話. 前半は学部時代に「計算論A・B」でやった内容と同じで,試験だけ受けたので授業についてはコメントできないが, 試験のレベルは標準的で,基本をしっかりと勉強すれば大丈夫である. 後半はこれまた初めての内容であるに関わらず授業はわかりやすくて良かった. ただし,内容はヒジョ~に難しい. レポートも結構難しく,数日間格闘した. 試験は,一転ものすごく簡単だった. 受講者がなんと5人で,ある意味アットホームな感じだった. これまた,受講してよかったと思った科目である.
「プログラミング演習」は2クラスあり,初級者向けと経験者向け. 初級者向けは授業やテストなどあるらしいが,経験者向けは課題を提出するだけ. 経験者向けは,
- Rubyによる正規表現、簡易httpクライアント・サーバ開発
- JavaでGUIアプリケーションの作成
- オープンAPIを利用したプログラム開発
から選択. Javaを選択し,軽く作成した. 価格対費用が良いのでオススメである.
「計算言語学」は3人の先生が数回ずつ担当して自然言語処理の話をしてくれる. 試験はなくレポート. 自分の研究室が自然言語処理学講座だからというのもあるかもしれないが, 価格対費用が良いのでオススメ.
「特別演習」は,情報系出身は特に取るのに苦労すると言われている"一般科目"の6単位分が, なんとこの科目1つで賄えるという脅威の科目. これには非常ーーに助かった. しかしながら,特待生でないと履修できない科目なので,詳細は割愛します.